犬の予防

狂犬病予防接種

生後91日齢以上であれば、飼い始めてから30日以内に1回、その後は毎年1回、狂犬病予防接種を受ける事が法律で義務づけられています。日本は世界でも数少ない狂犬病の発生のない清浄国です。

日本以外ではアイスランド、ニュージーランド、オーストラリア、フィジー初頭、ハワイ、グアムの6地域が清浄国となっています。(2013年7月現在:農林水産大臣指定狂犬病の清浄国・地域)2013年7月にはそれまで清浄国であった台湾で狂犬病が確認されたことは記憶に新しいかと思います。

このように、狂犬病はいつ日本に入ってきてもおかしくない病気です。病気がないから大丈夫なのではなく、病気を入ってこさせないためにしっかりと予防を行いましょう。

越谷市では狂犬病予防接種時の鑑札・注射済票の発行を動物病院に委託しています。

混合ワクチン

混合ワクチンは飼い主様任意で受ける予防接種ですが、予防出来る疾患の中には致死的な疾患も含まれています。健康な生活を送る為にもしっかりと予防を行っていきましょう。

混合ワクチンには様々な種類があります。当院では飼い主様とご相談の上、わんちゃんのライフスタイルに適した種類のワクチン接種を提案しています。

病名 症状
犬ジステンパー 発熱・下痢・神経症状など。死亡率も高く怖い病気です。
犬アデノウイルス2型感染症 肺炎や扁桃炎などの呼吸器症状を起こします。
犬伝染性肝炎 肝炎を起こし嘔吐、下痢、食欲不振を起こします。子犬では突然死することもある怖い病気です。
犬パラインフルエンザ 咳や鼻水、扁桃炎を起こします。ケンネルコフと呼ばれる犬の風邪症候群を引き起こします。
犬パルボウイルス感染症 血混じりの下痢、嘔吐を引き起こす腸炎型、子犬に突然死をもたらす新近縁型があります。伝染性、死亡率ともに高く怖い病気です。
犬コロナウイルス感染症 腸炎を引き起こし下痢、嘔吐が起こります。パルボウイルスとの混合感染で重篤な症状を起こします。
犬レプトスピラ病:黄疸出血型 歯茎の出血、黄疸が見られます。アウトドアで感染することが多く、人にも感染する病気です。
犬レプトスピラ病:カニコーラ型 高熱、嘔吐、下痢を起こします。アウトドアで感染することが多く、人にも感染する病気です。

フィラリア症

蚊の吸血により媒介される寄生虫による病気です。感染した幼虫は筋肉から血管へと移行し心臓や肺動脈に寄生します。大量寄生により心不全を起こし亡くなってしまうことがある怖い病気です。犬フィラリア症は月に1回の予防により100%予防できる病気です。

予防する期間

フィラリア症の予防期間は蚊の発生時期に合わせて行います。

フィラリア予防薬は薬を飲んだ時点で感染しているかも知れないフィラリアの幼虫を駆除するお薬です。フィラリア予防薬を飲む期間は、「蚊が出現し始めてから、蚊がいなくなってから1カ月後まで」となります。越谷エリアでは、最低限5月から12月までの予防を推奨しています。近年のフィラリア予防薬はフィラリアだけでなく、お腹の虫(消化管内寄生虫)も駆除できる薬が増えてきているため、消化管内寄生虫の駆除のために当院では一年を通した通年予防を推奨しています。

フィラリア予防薬の種類

様々なタイプの予防薬がありますが、当院では消化管内寄生虫も一緒に予防できるタイプのお薬を推奨しています。

寄生虫の予防

ノミの予防

ノミは動物の体表に寄生し、吸血を行います。そして卵を産んで卵から孵った幼虫が成長し、成虫となり動物に寄生するというライフサイクルを繰り返します。ノミの寄生により、ノミアレルギー性皮膚炎、吸血による貧血などを引き起こします。特に子犬、子猫では大量のノミ寄生による貧血は時に致死的です。また、毛繕いの際にノミを食べてしまう事で条虫というお腹の寄生虫に感染してしまうことがあります。

ノミは13℃以上気温があると活動が活発となります。人間の靴について室内に入ってくる事もあり、冬でも暖房で室内は暖かいため、当院では一年を通しての通年予防を推奨しています。

マダニの予防

マダニは動物の体表に寄生し吸血を行います。特に草むらなどに行く機会の多いわんちゃんで感染することが多く、顔や耳、お腹の皮膚などに多く寄生します。吸血による貧血を起こす他に、病気を伝播することがあります。

バベシア症はマダニが寄生する寄生虫の代表的なもので、死亡率の高い怖い病気です。赤血球にバベシア原虫が寄生することで溶血を起こし重度の貧血を引き起こします。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は近年ヒトで問題となったマダニが媒介するウイルス性の疾患です。犬での発症は報告されていませんが、ウイルスを持っているマダニが犬に寄生することでヒトに感染する機会が多くなります。

ノミ予防薬により予防が可能ですので、ノミと合わせてしっかりと予防を行いましょう。

消化官内寄生虫

お腹の中に寄生する寄生虫で回虫、鉤虫、鞭虫、条虫などがあります。中には人間に感染するものもありますので、しっかりと予防を行いましょう。特に小さいお子さんがいる家庭では予防が重要となります。

近年ではフィラリア予防薬が総合駆虫剤として消化管内寄生虫に効果があるものが出ていますので、フィラリアと一緒に予防を行っていきましょう。